― 道具屋 ―
[想いが同じであるかのように返る声がある。
繰り返したい嬉しいを言葉にする代わり満ちたような笑顔が浮かぶ。
いとこに対しての想いは複雑過ぎて今は語るを躊躇う。
いつまで続くか知れぬこの有限の刻をそれに費やすより
クレイグと共に先に踏み出したいと、思った]
そういう顔っていうのは……、そうだな、
ありのままのおもいが見える顔、かな。
昔から自分の事は抱え込んでしまう風だったから――…
[気心の知れた関係ではあった。
軽口の応酬もクレイグだからこそ楽しめるものだった。
けれど互いに深い話に至らなかったのは環境と性格、
居心地のよい空気を壊したくなかったせいかも知れない。
今ならば、それで壊れるものでなかったと知れるのだが]