[『場』が出来てからずっと、獣の意識に飲み込まれていた。
誰が死んでも、誰を喰べてもその時は悲しみや罪悪感なんてものは全く無くて。
ただ、人を喰らうことに喜びを感じていた。
その間深い底へと沈められていた罪悪感は、今、大きな塊となってオレに圧し掛かっている]
…ゲルダ、は、他とは、比べもの、に、ならない、よ。
………────っ。
[味の感想を今になってはっきりと口にすることは出来なかったけど。
美味だったのは間違いなかったから、オレは声を途切れさせながらそんなことを言って。
泣いても良い、謝らなくて良いと言われると、オレはゲルダを抱き締めたまま、息を呑んだ]
…ひ、っく……ぅ、く。
うぅ……!
[その一拍の後、涙が堰を切ったように零れて来る。
オレは泣くのを我慢出来なくて、嗚咽しながらゲルダを抱き締める腕にまた力を込めた。
零れる涙はまるで謝罪の代わりのよう。
オレはゲルダを抱き締めたまま、しばらくの間泣き続けて*居た*]