よしよし、いいこだな。
[泣かないと言うクロエ>>708に返す声は相変わらずのもの。
飄々としていて、でも、何処かあたたかみのある音。
同じ言葉を返されると抱きしめられた儘の獣の首が微かに傾ぐ]
なぁに言ってんだ。
俺は自分の事が一番だからな。
そんなことねぇよ。
[知られているとは思わなかったからはぐらかすような言葉。
漆黒の獣が彼女の腕の中で僅かに身動ぐ]
――…なぁ、クロエ。
お前さん俺が男だっての忘れてねぇか?
[ポツと紡いだ漆黒の姿が揺らいだ。
黒い髪に深緑の眸を持つ人の姿へと彼女に抱かれたまま変わる。
襟元を緩めたいつもの装束姿となった青年がクツと咽喉を鳴らした]