―承前―[視界の先で、ウィルムリエルの身体が崩れ落ちてゆく。呼んだ名前はやはりコエとして届くことも無かったけれど。ゲルダへと伸ばされた手。そこにずっと感じられなかった真実を見た気がした。だから悲しくとも場が開放されることを喜ぶべきはずなのに]俺は。俺達は。何のために。[これらも全て、仕組まれた茶番のようなものにすぎないのかと]「ラーイ……っ!」[自分を見失いそうになった所に届く声。ああダメだ。ナータまでこの虚無に触れさせたら。そう思って振り払おうとしたのに]