おー、孝行な教え子もいたもんだな。
見せて見せて。かーっくいー。
[ザムエルの静止は入ったろうか。
だがその前に、腕につけていた、サファイアとアメジストのそれに、触れた。
いつもの軽いへらりとした笑みを浮かべたまま。
だがその笑みの下、思い出すのは昨日の飴を握っていた爺の左手。
あの時は確かに"これはなかった”
ダーヴィットを始めとした、竜皇殿で久しぶりに会った竜らの可能性は無くはない。だが。
その事実に気づいた事はおくびにも出さない。
何時もの軽薄な笑みに様々なものを隠したまま、ザムエルが止めるまで『綺麗な黒い腕輪』に触れ観察しているだろう。]