[気持ちに気付いたのは、20年も前になる。
相手は神に仕える人。
それ以前に親子どころか、祖母と孫といっても差し支えない相手にこんな気持ち、おかしいと思い、悩んで。
師匠に付いて村を出たのは、もっとピアノを上手くなりたかったもあるけれど、一番は尼僧から離れたかったから。
離れてしまえばこの気持ちも薄れるだろうと思ったのに、胸の想いは募るばかりで。
妙齢の女性である師匠と、思春期の少年である自分が一緒に住んでいることに口さがない噂が立って村に戻されそうになっても、必死で帰りたくないと訴えた。
男じゃなければ良いのかと、女の様に振舞うようになったのはこの時から。
気が付けばもう人生の半分以上をこれで過ごしているから、もう昔の自分がどんな話し方をしていたかも忘れてしまったけれど]
…この格好を見たら、流石に引かれるかしらと思ったのに。
普通に受け入れられちゃうんだもの、止める機会失っちゃったのよ。