切り上げてすぐにも戻らなくちゃいけない、ということはなくなったわ。それでも導師としてここに残るようなことはできない。
…私の故郷はルーのように大きな国ではないから。
魔術を修められる人材というのも限られてしまっているしねぇ。
[王家も絶対的な力を持っていない。そんな小国。
自分が戻らなければ魔力の乏しい妹が苦労をし、やっとのことで内乱を回避できた王もまた苦労をする。
それらを全て振り切って我を押し通すことは、自分には出来そうになくて。そも学院に留学できたのは間近に迫った陰謀劇からの避難的措置でもあって。
だから「選ぶ」のは戻る道しかない]
フフッ。ええ勿論。
戻るのが嫌だとか、そういうのはないの。
ここが楽しすぎて。少し寂しくなっちゃうこともあるだけよ。
[ただそれだけ。だけど。
やはり微笑は少し寂しげなものになってしまう]