……召喚門!? ちっ、無茶に過ぎるだろうが、それはっ……!
[異界に接する召喚の門。
それと気づいて、素早く『魔本』に意識を凝らした。
従妹の周囲に集う魔力流は、鮮やかな緋色。
焔の気を強く宿すそれに、向けるのは、警戒の色。
何が出るか、と。そう思いつつ緋色を追い、そして]
「盟を持ちて結び、開きし門より……来たりて出でよ、焔なる獣統べし王よ!」
……なっ!?
[従妹の紡いだ呪に、思わず声を上げる。
『焔なる獣統べし王』。それが、何を示すのかは明らかで]
馬鹿野郎、お前の魔力でそんな大物……っ!?
[呼べる訳がない、と言う言葉は、蒼白い焔の閃きに遮られる。
緋色の光が紡いだ門から現れたのは、白銀の毛に包まれた九尾の獣──焔獣王天狐。
しかし、その実体は曖昧で、ぎりぎりで存在を具象化しているのは、一目で見て取れた]