「……上手いなあ、ベル」
[旋律が途切れると、向けられたのはどこか呆けたような賞賛の言葉。
それに、んな事ないよ、と返しつつ、ハーモニカを返そうとするが]
「いいよ、それ。ベルが持ってて」
[友から返ってきたのは、あっけらかん、とした言葉だった]
え……でも。
[金髪の少年が、肌身離さず持ち歩いていたハーモニカ。
大事なものなのは、問うまでもなく明らかで]
「いいからいいから。
だってさ、ベル、物凄く楽しそうに吹いてるんだもん。見てるこっちまで楽しくなってくるくらい。
音も凄く綺麗にでるしさ……ベルが吹く方が、そいつのためにもきっといい! 決まり!」
[反論の余地なく、金髪の少年はこう言いきってしまう。
こうなると、頑として譲らないのは、この数年の付き合いで既に理解していた]