く、あああっ!
[そのまま水の刃は、僅かに軌道を逸らしながらも、仮面の男の胸元を切り裂く、雷撃だけでもステッキに吸収されていたのは幸いだった。
男の身体に流れる血の色は、人間と同じだったようで、緋色の筋を空に描きながら、地面に落下してたその姿は、激突寸前、とん、と地面に手を付いて、漸く受け身を取ると片膝をついて起き上がった]
やってくれる…ま、そうでなくては…な…
[一文字に朱を引いた胸の傷を押さえる白い手袋もみるみるうちに緋に染まる。痛みに唇を歪めながらも、仮面の男の貌から笑みは消えず、折れたステッキの残った半分をくるくると手の中で回した]
そろそろ……遊びも終わりにしようか?
[回転するステッキの切れ端が、徐々に雷撃の光を溜め始める、そしてその形も剣の柄のように変化して、青白い稲妻の刃を持ったフランベルジェが生み出された]