─駅─
[気付いた時には人の出入りの多い駅のホームに居た。
隣には晴美の姿。
突然現れたはずの自分達に、周囲の人達は驚くことなく通り過ぎて行った]
……戻って来れた……みたい……。
[少しぼうっとした様子で呟いた。
ふと、右手に視線を落とす。
PCを壊した時に手から離れたのか、あそこで調達したものだったからなのかは判らないが、ネイルハンマーは握られていなかった]
…は……やっと……戻って……。
[右手が顔の上半分を覆う。
戻って来れたのだと実感して、今になって身体が小刻みに震え出した。
今まで張りつめていた緊張の糸が途切れたのだ]