[ふと、自分は父親でもなく母親でもなく。この服の近くに立ったことに、皮肉気に口の端を上げた。]お袋はいい。親父は…これで少しは目が覚めるといいんだけど。[唯一、定期的に面会に来ていた息子が失踪したと知ったら何を思うのか。おそらく母親は何もしない。その事実に目が覚めて離婚でもしてくれれば。]あの人も…前に進めるのに。[それとも絶望してまた薬に逃げるだろうか。それは分からなかったが。すこしは信じてやりたかった。]