[瑠衣の元へ行こうとして、目を閉じ、彼女のことを想う。
もし母親に会ってたら泣いてそうだと思うと、気が急いだ。
ゆらと自分のカタチが崩れ、世界に溶け込むような感覚。
それはすごく心地が良いもので。だが一方で、駄目だと心が警告する。
強く、想うと、カタチは再び形を成し。
目を開けると知らない景色の中に居た。
多分水無瀬の家だと辺りを見回すと、丁度向こうから誰か来た。]
ぁ……。
[自分の母親とそう変わらない、壮年の女性。憔悴しきっていたが、少し瑠衣と似ていた。
水無瀬の母親だと思った瞬間、自分をすり抜け向こう側へと行ってしまう。
背を見送ると頭を下げた。帰してやれなくてすみませんと、謝罪の意を込めて。
顔を上げると、母親が来た方へまっすぐ向かう。
その先で顔を伏せるようにして座っていたものの隣に無言で座り。
何度も何度も、頭をそっと*撫でていた。*]