─回想─
[全てが終わった直後、フーゴーはヘルムートの最期の望みを叶えるべく、ユリアンを丁重に埋葬した。人狼騒ぎに巻き込まれた者を島の共同墓地へと葬ることを自衛団の連中は忌避したが、フーゴーの説得(と言うよりは気迫)によって今はカヤと共に共同墓地で眠っている]
[問題は、獣の姿のまま眠りについたヘルムート。人狼であることは明らかで、自衛団に対しても証明にはなったが、当然共同墓地には葬らせてもらえなかった。フーゴーの説得も、ユリアンを葬る許可を得るまでしか効力を持たず、自衛団員は「森にでも捨てれば良い」と言って断固拒否したのだった]
死しても受け入れられん、か…。
人狼も人も、死してしまえば何ら違いはないっつーに……。
[いつか言った言葉を詰所の前で呟く。腕の中には布に包んだ獣形態のヘルムート。それを見つめ、小さく息を吐いた。仕方無い、と向かうのは自衛団員も言った森の方。共同墓地に葬れぬなら、他に葬れる場所はここしかない]