「ああ、終わってしまいましたか」
[バタバタとやってくる複数の足音。
耳に馴染まない声が、過去の情景を吹き消してゆく。
もう一度ゲルダに回した腕に力を篭め、それからゆっくりと身を離す。
左手でそっと握り直し、振り返る]
「お疲れ様でした。
貴方達に掛けられていた嫌疑はこれで晴れましたね」
[自衛団員達が遺体を運び出そうとしてゆく。
声の主は村の神父ではなかった。
温和そうな佇まい。その表情はどこまでも痛ましげに]
「参っていらっしゃるでしょう?
本当に痛ましい事件でした。今はゆっくりと休まれるのが」
そうもいきません。
休むとしたら、全員を弔ってからです。