―屋台通り(使い魔)―
[聖夜祭の真っ只中、
きょろりきょろりと猫目を動かして周囲を見回す黒猫が一匹。]
『こんだけ人多いのに。…ティルは居ないのかぁ。
……腹減った。』
[人の歩みを縫って、ととと、と駆けながら。
小さく呟いた声はきっと誰にも届かない。
楽しそうな沢山の笑顔を眺めて行く内に、美味しそうな香りが幾度も嗅覚を擽って。ぐう、とお腹が鳴ったような気も。
羨ましげに食べ物へと視線を向ける事幾度目か、顔を上げた矢先、猫目に映った人影の中には]
『ティル?』
[ティル(と思われる)子どもの影があったような。]