[研究責任者のからかいを含んだ声に、そんな心算ではなかったと言わんばかりに言葉を返す。
言いながら、瞳が誤魔化すかのように研究責任者を視界から外した。
それに気付いたのか、彼女はまたクスクスと笑いを零している。
それから、ふ、と彼女の表情に翳りが落ちた]
「──…皆には悪いことをしたわね。
こんなことになってしまうなんて…」
……………。
「ねぇスティ、私は間違っていたのかしら?
この研究が確立されれば、人類にとって大きな躍進になる。
だから、危険を承知で研究を続けて来たけど……」
[問われて、煙草を銜えた口の隙間から、紫煙交じりの息を零す。
バンダナの奥の瞳は翳りを見せる研究責任者を見下ろした]