「随分と満身創痍だね? 君らしいと言えば君らしいが」
お前ぇ…なんで、ここに。
「私の持ち物が巻き込まれたと聞いてね、確かめに来たのさ」
だーれがてめぇの持ち物だ!
[クレメンスによる男性への問いかけは、飄々としたもので返された。
突っ込んだことでクレメンスがまた咳き込んでいたが、男性は薄く笑うだけ。
他の者に名を問われても、男性は「しがない孤児院のオーナーですよ」と言うに留める。
それから男性は中央教会の者達に何かの書状を見せて、それを見た彼らに訝しげな瞳を向けられていた。
それにもただ笑うだけで、書状を仕舞うとツカツカとエーリッヒの傍へと歩み寄る。
上から覗き込むようにして何かを確かめると、身体を戻して中央教会の者達へと首だけを向けた]