動物扱いなんてしてないわよぉ。
興味深い研究対象、それだけよ。
[言葉ではそう言うものの、すっかり相手への興味が思いやりを上回っているのは、その爛々と輝く瞳からも明らかだろう。
そうして投げ付けた金環は、こちらの動きを見切った相手にあっさりとかわされる。>>789]
あらぁ、結構すばしっこいのねぇ。
じゃあ、次はー……ふ・た・つ。
[懐から取り出した輪が、手品のように二つに分かれ両の手に納まる。
軽く構えを取った女の顔は、少年の言葉に笑みを深くし]
まあ、優しいのねぇ、ボク。
でもぉ、あたしは学問のためなら、喧嘩だって厭わないのよ。
[両手を大きく後方へ引き、笑みの形の眼を僅かに開いて]
だから、存分にやっちゃう。
[腕全体のしなりを効かせて放たれた輪は、微妙な時間差をつけて左右から少年へ迫っていく*]