─ 司書の部屋 ─
[>>765天鵞絨の瞳が、きょとんと瞬くのを見て、微笑む。
こちらの言葉に俯き黙した彼が、小さく声を上げて。
>>766思いもしなかったという顔をする彼を、ただ見つめる。
じっくりと、浸み込ませるように繰り返す声、揺らいだ瞳は一度伏せられて。
再度開いた瞳と唇、そのどちらにも揺らぎは残っていなかった。
>>767向けられた穏やかな笑みに返すこちらも、似たような笑みを返して]
どういたしまして。
[>>768礼と共に浮かべられた微笑は、彼が老尼僧に向けたそれと似ているように思えた。
受け取るこちらは、老尼僧のそれと似た微笑になっていただろうか。
そうなら良いと思いながら、目を伏せて]