─ 山頂 ─
[色について記された手記はいくつかあった。
ただ、その記述には一つとして同じ物はなかった。
あるものは、晴れやかに美しい、と称し。
あるものは、美しくも不吉、と称し。
あるものは、ただ鮮やかな天の色、とだけ記して。
だから、実際の色がどんなものかは、想像もし難かった。
だからこそ、見たい、という気持ちがどこかにあって。
そして、実際に見たその色に抱いたのは、『寂しそう』という思い]
……ああ、そっか。
[寄り添うものがない、というエトの言葉に、何となく、理解が及ぶ]
一本きり、一人きり、だから。寂しいんだろ、な。
[小さく呟いて、それから]