すまん。
会う訳にはいかなかったんじゃ。
[家に戻れば日常が失いがたくなってしまう。
そして口火を切れば人狼に狙われる確率が高いことは先刻承知で、あの説明をしたのだから。戻れるはずがなかった]
ああ、後悔はしておらんよ。
この手を選んだ時から、それだけはしたことがない。
[悩んだことなら星の数。迷ったこともまた同じく。
それでもあの針を手に入れた時から、ヨハナを選んだことだけは後悔したことがなかった。
何度喧嘩しようと、泣かせてしまおうと、それだけは出来なかった。それだけ欠かせない存在だった]
……ああ。
何よりここまで共に歩めたことを感謝せねばな。
[見上げてくる妻の視線を受け止め、見下ろす瞳は柔らかく澄んだ色を湛えていた]
幸せ、だったからの。