「だって……だって、兄さま。 わたくしは、兄さま、と……」[一緒に帰りたい、と。消え入りそうな言葉。浮かんだのは、微苦笑]……できないよ、それは。騎士になれん俺が国に戻って父上の跡を継げば、何処からか不満が出る。それに……。[言いつつ、手の上に呼び出すのは漆黒の『魔本』]コレを狙う連中も、少なからずいる。……だから、俺は、ここにいた方がいいんだよ。