―― 駅 ――[懐かしい音がして僕は視線を上げる。人の行きかう音。電車の発車する音。さまざまな音が行きかう中、僕たちはそこに居た。] ――そう、みたいだ、ね?[ほっと一息吐く七重姉の言葉に頷いて、僕は携帯を覗き見た。電池切れになっていたのか。画面は真っ黒だった。] ――七重…姉?[微かに隣の空気が震えたから。僕は七重姉に声をかけようとして。その姿を見てやめた。せめて少し整理がつく時間くらい、与えてあげたいし、僕も欲しかったから。]