―数日後・教会―
[仲間、と呼べただろう二人が死んでから。
色々と事後処理が終わり、教会に戻れたのは暫く経ってからだった。
教会にはもう宿無したちは居ない。
道が開かれたと同時に、旅人や商人たちは村を出て行っていた。
当然だなとは思う一方で、よからぬ噂が立たなきゃいいが、とちらりと思いながらも、礼拝堂の掃除をしていった。思ったより片付けられていたのは、おそらく彼らなりの返礼なのだろう。
礼拝堂の窓から光が差し込み、闇との境目がはっきりと分けられる時刻。闇の中に立つと、視界がより開けている事に気が付いたのが始まりだった。
無性に肉が食べたくなる。
夜になると時折、走り出したいような衝動に駆られる。
自ら流した血の味に、目を細める―――など。
ささやかな変化に気づいてしまえば、獲物は寝台の下にしまえなかった。机にたてかけるように置くのが常となり、その横に銀粉の入った小瓶が置かれる。それがどちらともの定位置となっていった。]