[彼女の言いかけた言葉の続きを、ボクは促すことはせず、そして鏡に映る彼女が階段を上っていくのを見送った。
後に鏡に残るのはそこに手を付くをボクをと、その背景を映しこむだけに。
ボクは零れ落ちる涙をそのままに、憂いの色と悲しさの色と、それから少しだけの幸せの色をにじませた笑顔を、鏡の向こうに向けていた]
忘れないよ、ずっと。
絶対に、忘れることなんてできないから。
[時折、ボクは鏡を見ている。その中に彼女が映るような気がして。
そこに映るのは、いつも変わらずボクの姿だけだけども、あのときのことはただの幻覚なのかもしれないけども、
それでもボクは、鏡の向こうに見た彼女に、いつか会うそのときまでずっと忘れずにいようと思った。
ボクがいつか、彼女を迎える*その日まで*]