――!
[ハルバードの穂先が何かを掠めた感触が指先に伝わる。そのまま刃の餌食にするべくハルバードを動かそうとした瞬間、目の前からエーリッヒの姿が掻き消えた。
いや、掻き消えたように見えた。
突き出し、伸び切った腕と槍柄の下に彼の姿を見つけた時には、すでに蹴りが放たれた後だった]
チィ!
[槍を彼の頭の上に落とす。いや、場所的に有効打になる可能性が低い。飛び退くには遅すぎて且つ追撃を受ければ簡単に懐に潜り込まれるだろう。
何を行っても蹴りからは回避できない――。
...は経験から本能的にそれを悟ると、下半身の筋肉が膨張するぐらいに力を込めた。そして槍柄の前方部分を握っていた左手を離すと、右手の手首の返しだけで柄尻をエーリッヒに当てるべく下方向へ縦に振り回した]