……聴いてた、の?[それでも、こう、問えたのは。先に上がった声が感嘆のそれであったからで。それに肯定が返された後、ほんの少し、逡巡して、それから]……えっ……と。もう一回、最初から、やる、けど。聴く?[おそるおそる、こう問いかけたのは、何故だったのか。当時は特に考えていなかった。後から考えてみてもわからなかった。──わかった時には、それを表していいのかがわからなくて、内に沈めようとして。けれど、隠しきれぬそれは、密やかに音色に映される事となる。**]