― 回想/薬品庫 ―
[手に付いた紅交じりの砂を落とした所で、後ろに人の気配。
自分も探すというリディの様子に、微笑を向けた。
後は淡々と薬品庫からインスリンを探す作業に移る。
腕を上げると、背中が軋んだ。
腕が持ち上げれる稼働領域が狭まっていることを知る。
幸いなのは、長身と長い腕故に、そう苦労なく薬品棚の上にも手が届くこと。]
僕の方は見つからなかったです。
リディさんの方はいかがですか?
[インスリンを探すのと並行して、
各薬品の中から一番製造年月日が新しいものを集めていた。
何かあった時に使いやすいように。
何もなければいいと思いながら。
――使って良いか保障はできないから。
その作業がひとまず終わったところで、少女に話しかけた。
少女の反応はどうだったろう、なんにしても]