[相手がわざわざ声を掛けた、その意図には気付かない。
ただ今は来たるべき攻撃を回避するために、軽く反動をつけつつ両手を地面へ向ける。
そして銀弧から足を外すと、倒立から戻る要領で大きく下に振った]
…………っ
[さすがに攻撃をかわし切る間はなく、硬質の羽根が背を掠めていくのを感じた。
しかし、いずれも深手には至らない]
それが、ボクの武器?
[地に両手を着いた姿勢のまま、改めて少年と向かい合う。
背に触れる空気が傷口をひりひりとさせるが、笑みの表情は変わらない。
膝を着いていた両脚を引き寄せるようにしながら、ゆっくりと立ち上がり]