『そうだね…じゃあ、あっち行こうよ。
あそこなら大人も来ないし、入り組んでるから絶対に見つからないもん。』
[指を指して鉱山からさほど遠くない其の場所を示す。
日があまり射さない雑木林は危ないからと言われて来ては居たが。]
『何よ、怖いの?』 『怖くなんてないよ!』
[外で遊ぶのが好きな姉の口ぶりからに、何度も雑木林に行き来しているらしき姉の得意げな笑みが、
気弱な弟の矜持を焚きつけてしまう事となり。
林の中は昼間だと言うのに暗い。
幾多にも連なる枝葉が、樹の根脈が二人を阻もうとしていた。]