─ 先の時、春の頃 ─[吹き抜ける風が、柔らかい。真白の名残はほとんどなくなった頃。聖堂の前、蒼を肩にのせ、陽射しと風の温もりに、しばし、浸りこんでいた]……静か、だなぁ。[ぽつり、呟けばピリリ、と返る囀り声。もっとも、この静けさに至る前には一騒動もあったのだけれど]