[村から街に戻って、暫くは惨劇に巻き込まれたピアニストとして持ち上げられたものの時が過ぎるにつれて噂も落ち着いた。
風変わりな奏者との評は変わらぬものの、以前までと異なるのは何処に行くにも、その傍らを猫が付いて歩くようになったこと。
ただ寂しがるから連れて歩いていただけなのだけれど、噂のせいで忙しくなり、猫に構う暇を作る為に演奏会の舞台袖まで連れてきたところ舞台までついてきてしまって。
それが更に評判を呼ぶようになったのは意図せぬ誤算。
より忙しくなりはしたが、それでも帰省の時間は必ず取った。
特に冬のある時期だけは、たとえ一日であっても必ず生まれた村へと帰り。
聖堂で演奏することを、欠かしはしなかった**]