[その出来事が起こったのは、降り積もる雪の降る日。
レナーテと男は、次々と刺客に襲われた。
色々と敵が多い男にとっては、その刺客がどこからのものなのかはさすがに分からなかった。
だが、その刺客の腕はとにかく高く、レナーテもまだ青かった。そして男もまたそれを守れるほどの余裕を持てるような相手でもなく、彼女は段々と憔悴し、傷が増えていった]
[それでも、レナーテは泣き言一つ言わずによくやったほうだった。
例え、ここで倒れたとしても誰にも文句一つ言わずに倒れただろう。
ただ一つの心残りを除けば]
[そんなレナーテを疎ましく思ったのか刺客から話された衝撃の言葉。
彼女達がこのような状況に陥ったのは、少年が彼女達を売ったからだという。
提示される証拠は事細かに一致しており、それは間違いのない事実だと思った。
―――それでも。
彼女は泣かなかった。恨み一つ上げなかった。動き一つ変わらなかった。
ただ、目の前の敵を倒し、そして、彼女は静かに少年を倒すとそれだけ言ったのだ]