…俺はさ。
護りたいって思うものは、たくさんある。
美しいと思うもの、全て─この景色だって、例外じゃない。
でも、それは…俺の手で護られなくても良いんだ。
ちゃんと護られているって思えるなら、それが俺以外の手で護られていてもいいんだ。
俺が護ることよりも、それが護られていること自体が重要だから。
勿論、全部が全部そうだってわけじゃない。
どうしても俺の手で護りたいと望んだものも、あったけど。
それは全部、俺から離れていった。
…俺の正体を知ったら、みーんな、ね。
だから、俺はそれを望めなくなった。
[そこで一旦言葉を切って。]
キリルちゃんは、本能以外の何かがあるなら、って言ったよね。
こうして誘っといて悪いけど、それがあるのかどうかは良く解ってないんだ。