[あれから。
少女は村のローザ宅に訪れるようになっていた。
味覚は大丈夫なのに料理の腕が伴わず、
物体Xが出来てしまうことの方が多かったから。
見かねたローザに食事に誘われて。
そのまま食事時にお邪魔するのが常となっていた。]
いつもいつもご馳走してもらってすいません。
ありがとうございます。
[とローザの家族に、頭を下げて謝罪と礼を口にした。
気にしなくていい、と言われればきょとん、とした表情になった。]
……両親、って。
こんな感じなのかなぁ。
[少女には両親の記憶はない。
物心ついた頃にはもう、祖父と二人きりだったから。
ポツ、と零れたのは、無意識だった。**]