……"腕"?
[カルロスの口にした言葉が思考の片隅に引っ掛かる。しかし問い正すほどの余裕はなく。
”破戒”そう銘打たれた剣が、ガラスを溶かし振り払うのを見る]
へぇ。そんな芸当。出来るんじゃないっすか――
[しかし、その一薙ぎは――彼の背後の刃にまでは、届かず]
あは、でもちょっとばかし、詰めが甘かったようで――
って――
[己の手にした刃を突きたてようとした刹那。
達観したかのような男の、穏やかですらある声が耳元へと届き]
なっ……
何余裕ぶっこいてるんっすか!
[カルロスが体を傾けたせいか、それとも他に何か原因があったのか。
刃は急所を逸れ、鎧の表面を削ぐにとどまった]