―解放後―「イレーネ!」[名を呼ばれた。ゆっくりと目を開く。ずっと祖母と思ってきた女性、本当は大叔母だった人の声]「イレーネ?」[目は開けた。ただそれだけ。何かをどこかに忘れてきたような無表情]……。[無言のまま、目の前の女性を見つめ返していた]