……。
[そうして、今やっと、彼女が素直に笑っている。
それだけでも、此処に来て良かったのだと心から思った]
『―――見つけたぞ、レオニード……!
今日こそ貴様の―――』
[男の背後から刺客が迫ってきたが、そのセリフは最後まで喋ることは出来なかった。
ただ一回。男が指を一つ鳴らしただけで、その刺客の体が縦に真っ二つに裂けて死んでいったからだ]
……俺は今、娘の晴れ舞台を見ているんだ。
邪魔する奴は、誰であろうとブッ殺すぞ。
[ニコヤカな顔で、視線を娘に向けたまま、レオニードがそんなことを言った。
花が咲き誇る街イキシアは、あの時のことを思い出し、強く幸せに生きていく娘を、ただ目を細めて見送った]