─ 回想 ─
[幼い頃から、綺麗なものが好きだった。
田舎の村には都会のような煌びやかなものは少なかったけど、
代わりに豊富な自然と、うつろう四季の輝きがあった。
春に透き通って芽吹く若草を摘み、夏はきらめく川面を見た。
秋には色づく木の葉とあらわになる樹木の造形に目を奪われ、
冬は軒先にきらめく氷柱や繊細な雪の結晶に、いつまでも見入った。
クロエは、外を駆け回るのが好きだった。
外で触れ合うものらが好きだった。
必然的に、共に遊ぶのは同年の少女らよりも少年…
ないしは年下の少女だとか、そういった相手が多かった]