>>837
[青年の掠れた声に鴉はその傍へと座り込む。
不意にゲルダの手が動くのに気付き。
見やれば青年の頭を撫でる様子が目に入る]
[紡がれる優しい調べ。
その旋律に鴉も感覚を委ねるように瞳を閉じた]
[青年は母の優しさを知らぬ。
青年は母の温もりを知らぬ。
けれど、今伝わる優しさと温もりは求めたそれに似ていて。
波立つ心が宥められるような感じがした]
──……。
[すぃ、と瞳が開いたのはどのくらい経ってからだろうか。
自分が今どんな状況にあるのか把握出来ず、しばらくの間黙したままぼんやりとしていた]
[鴉は子守唄のお陰で爆睡中]