─ 数日後・教会 ─[墓地の見回りを終えて夕暮れにさしかかる頃、教会に戻る前に何故だか足は林のほうへと向いた。匂いに引き寄せられてか、無意識にたどり着いたのは団長の骸が転がった場所。既に片付けられはいるのだが、血の痕跡はまだあちこちに、ぽつりぽつりと残っている。常人よりは良いと自負している視力が、木々の上部にまで飛び散っている飛沫を捉えた。視界の高さにこびり付いたそれに、ゆらりと幽鬼のように寄り。どこかざらりとした舌をちらつかせて、近付いて。赤黒に真紅が触れる瞬間―――]