ハ、っ………[理性を取り戻し、寸前で留めた。他人の血肉を口にすれば、それが最後な予感はある。そうなってしまえば、自らも二人と同じ道を辿るだろう。まだイレーネが村に居る、生き残った子供らも、友人も。潜り抜けた死線の先で、死なせるわけにはいかないと。ゆらりと夕暮れの中、教会へと戻っていった。友人の姿に気づいたのは、ちょうど入り口に差し掛かった頃。陽の赤い光が顔の半分を覆い。陰に隠れた半分の下から、獣のように細い光彩を持った翡翠が細められ、オトフリートを見つめていた。]