ふわぁ、……!
[風が、さらさらと髪を揺らす。精巧なドールハウスのような街に、人が動いている。]
すごい、すごいですベルさんっ!
[ともかく、足元も遠くも、綺麗で小さくて。玩具の世界に居るようだった。
只管凄い凄いと連呼していたような。]
[きらきらした目を、微笑みに返せば。消えるその表情に、す、と冷たい空気が喉を通った。]
[語られる話>>838に、胸が痛まないといえば、嘘になる。
護りたい、と思った者。零れたそれ。望めない、と言う言葉。
『あの子』の泣き顔が、ちらりと過って。
余計なことしか言えそうになくて、口を噤む。]