[エーリッヒが村を去って後、
自然と幼友達らとの時間は減ってしまった。
丁度、そういう時期でもあったのだろう。
両親は安堵したようだった。
これでクロエも大人しくなるであろう…、と。
けれどクロエはこの時、既にあるものに魅せられていた。
造形細工だ。
きっかけは教会の祭壇に飾られた銀細工、
その繊細さと造形のうつくしさに魅せられた。
それだけならば娘らしくもあったであろうに、
クロエは自分の手で創りたいと思い始めた。
思えば枉げないのは昔からの性である。
さっさと村の職人に弟子入りして、
呆れた──結局のところ娘に甘い両親を尻目に、
ついには小屋を構えて細工職人となってしまった]