あ、そうだ。
[帰る間際に、子供は思いついたように影から飛び出し、お別れの挨拶、の意も込めてエリカにぎゅうと抱きついた。
それからやけに真面目な顔で。]
エリカねーちゃん、ねーちゃん嫁に行かないって言ってたけど。
[正しくは行けない、なのだが、子供には違いもその意味も、まだわかっていなかった。
そんなことはお構いなしに。]
おれがかわいいじゃなくてかっこいいになったら、
おれがねーちゃんのこと嫁にもらいにいくよ!
[そこにエリカの保護者がいたらどんな顔していたやら。祖父母はただただ、微笑ましくそれを見ていた。]
じゃーまたな!
[子供は無邪気にそう言い残し離れると、エリカらに大きく手を振り、祖父母に連れられて母が過ごした家へと帰っていった**]