─ 事件後・自宅 ─
[ウェンデルと言葉を交わした後。
手が動かせそう、と察すると、中途半端になっていた腕輪の修理に取り掛かった。
鳳の細工を可能な限り修復し、歪みを直した銀の枠へはめ込む]
…………。
[向い鳳凰、番の霊鳥。
様々な事を知った今となれば、あの時の美術商の熱意、その所以にも思いは至る]
……どんな障害があろうと、共にあり、護りたい……だったか、確か。
[依頼をされ、用途を聞いて。
ただ、一つだけ引っかかるものがあったから、理由を問うた。
単なる装身具としての依頼ではなく、護符として求めてきたのが引っかかったからだ。
護符として求める理由が聞けなければ受けられない、と突っぱね、向こうは理由は話せない、と拒否して。
……今思えば、大分子供染みた攻防戦をしていたな、と思う。
まあ、当時はこちらもまだ子供と言える年頃ではあったが]