[それでも、地上に対する興味自体は消えなかったから各所を巡る暮らしを続けていたが。
例え相手が人外であっても、必要以上に己が出自に触れる事はしなかった。
……なのだが、まあ、思い通りに行かないのが世の習い。
バイクで疾走する、という楽しみを見出して間もない頃、走っていた湾岸道路で、発生しかけていた大事故の予兆を見過ごせず。
とっさに変化して干渉する事で、事なきを得た──のだが。
以前の事もあって、条件反射的にそこから逃げた。
……その時は、既に付き合いのあったオリガが一緒にいた事は、完全に抜け落ちていて。
後から思い出して、さてどうしようか、と悩みながら、その近くにある崖の浸蝕洞の中で変化もせずに丸まっていた、のだが。
こちらがアクションを起こす前にやって来た彼女の態度は、つい先ほどまでと変わった様子もなくて、それで──]