(……あれで安心したのが、ある意味運の尽き、だよなぁ)
[ぱたり。
尾を一振りしながら、ふと浮かぶのはこんな考え。
何がどう運の尽きなのかはさておいて。
とにかく、それで安心できたのは大きくて、だからこそ、自身の真名──『湧凛』を教えたりもできたのだが。
真名は存在を強く示し、最も強く干渉し得る言霊。
それを教えるのは、ある意味では最も強い信頼の証でもある。
障壁術式の事を打ち明ける気になったのも、そんな信頼感が根底にあるから、なのだが]
…………。
[ぱたり。
また、無言で尾を振る。
なんだかんだと、頭上がらねぇよなぁ、とか。
そんな事を考えながらも。
別にそれ自体には、悪い気はしていないのは、もしかしたら問題かも知れない。**]