[愛し愛された相手と子を成し、その子を育ててきた彼が、ただ羨ましかったからだ。なんて勝手な、言いがかりだろう。それでも、私には出来ないことを成してきた彼が羨ましかったのは、事実。]…………誰かと、恋をして。愛した人との子を、産みたかった。この手に、抱きたかった。家族を、作りたかった。[口を開く度、薄れていくのは存在だろうか、感情だろうか。家族を作りたかった。自分が知る家族は、唯一人。けれど、もうその人はいないから。]…die Oma.